アホになる無線機


** 注意 ** ICOMのホームページに掲載されています通り、2010年6月1日以降は、
      該当機種のIC-271,IC-371,IC-741,IC-750,IC-1271,R-71は一律無条件で
           修理受付終了となっており、下記の金額を出してもプログラムを書き込んでもらう
      事は出来ません。この記事はそれが発表される前に書きましたので、ご了承の上
      お読み下さい。


** 注意 ** 本装置を売ってくれ、回路図が欲しい、プログラムが消えたので書き込んで欲しい等の
        要望のメールが時々届きますが、この「アホになる無線機」はバックアップ電池を外すと
        無線機が使えなくなると言う事をお知らせするためのページです。
        読出し、書込み装置の販売、回路図の提供等、製作のアドバイス等一切致しておりません。
        また、メールで個別にお断りのメールの返信は行っておりませんので、ご了承の上お読み下さい。


化けた!

なんと、すごい無線機が存在します。バックアップ電池が無くなるとプログラムが消えてしまうのです!
そうです 「アホになる」 のです。
普通と言うか、当たり前と言うか、CPUを使った基板を設計される方には一般常識ですが、プログラムは
[ROM]に、書き換える必要のあるデータは[RAM]に、そして、その[RAM]のデータをバックアップ電池
でバックアップします。そうする事によって、電池が無くなったら電池を交換すると、データが初期値に戻る
だけでプログラムが消えることはありませんが、IC−741、IC−750他これらの年代のこのシリーズ
はプログラムもデータも[RAM]にあります。もう一度言いますよ[RAM]にあります。くどいですが、
[RAM]にですよ。そうです、電池が消耗したから交換しようと、電池を外した時点でプログラムは消失するのです。
電池を入れてもよみがえる事はありません。ご注意あれ!!!!
じゃあ、電池を交換して貰おうと、メーカーのサービスセンターに相談すると、技術料¥12、285に交換部
品費を足した物だそうで、電池を交換するだけにそんなに払えますか?

私のIC−741もやられてしまいました。全部消えるのではなく、一部分が消えたのです。症状はダイヤル
を回すと周波数表示は変わるのに、実際の受信周波数は9KHz毎にしか変わらないのです。そうなるとSSBや
CWは全くだめでAMのラジオを聞くくらいしか出来ません。一気にプログラムが消えてくれれば、
「あ、消えた」と納得ですが、一部分が書き換わって、他はまともに動作するので、PLLがおかしくなった
と思い、自分で修理するべく不具合個所を特定するため、ずいぶん無駄な時間を費やしてしまいました。
結果は、プログラムの一部が書き換わったとしか考えられない.......

確かめよう
本当に、プログラムの一部が書き換わったのか?の疑問を晴らさなくては。でも、メーカーのサービス
センターに送ると、とんでもない出費が。そこでインターネットで捜していると、ハムショップの中古コーナー
にPLLが不調のIC−741があるではないですか。さっそくこれを購入して確かめる事に。

届いたIC−741からRAMボードを抜き取り、移植し動作確認。まともに動いている!!やっぱりプログラムの
一部が化けている。でもそれが分かったからこのままで使うなんてしません。だって、この移植したRAMボードの
電池もいつまでの命か分かりませんから。

RAMリーダーを作ろう
本当に書き換わっているのか、確かめるためには、RAMの中身を覗いてみなければ分かりません。それではと
さっそく、RAMリーダーを製作しました。(写真右側の基板)



 

RAMの中身を見てみよう
プログラムの一部化けたのRAMボードと、まともに動作するRAMボードの中身を読み出してデータを比較して
見ると違う個所が一杯。データの並びはプログラムを作った人にしか分かりませんので、私に確認出来るのは違う
個所がどこかを確認。
文章で書けば、たった3行ですが、1枚のボードを読み出して、データを取るのが1024個、これを
2回。それを紙に書いて一覧表に。いやー、数時間の作業.....



 

RAMにデータを書く
データが化けた部分を、元に戻すべくRAMライターを製作。(上の写真の左側の基板)
電池を交換しなければ、また化けるので、電池を交換。ここでいきなり電池を外すと全てが消えるので、電池を
もう一個仮付けして、RAMの内容を保持させたまま、旧電池を外し、新電池を取り付けました。
ボタン電池のタブ付きが入手できないので、ワンボードマイコンなどに使う、大きな電池を使う事に。
これで、10年は大丈夫?

電池が新しくなったところで、化けた部分の修正を。

完成!!
出来上がり!もう一度、データを読み出して確認し、IC−741に戻します。
おおおおおおおーーーーー、よみがえった!!!!!
長い道のりでした。

取扱説明書の、「仕様上の注意と保守について」には、さりげなく書いてあります。
要約して書くとCPUには外付けのRAMが使用されていて、電池が消耗するとRAMのデータが
消える、そしてディスプレーに極端に異なった値が表示され、最後には0.000.0MHzに
なると。そしてとどめに「弊社サービスセンターにご連絡ください」とね。
連絡すると、上記の金額を提示されます。
あんな金額を払うくらいなら、分解してパワーアンプとLPFを抜き取って、FT−817用
リニアにでも作り直したほうが利口だと思いますが、みなさんはいかがお考えでしょう?

何はともあれ、データを元に戻すことが出来ました。IC−741が2台になってしまいましたが、
後で購入したIC−741は時間を見て、PLLの不良個所を修理しましょう。

まだ、我が家には問題のIC−750がありますから、データが化ける前に、中身を覗いてメモして
おきましょうか。



 


 



 






 

 

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